その鍵ではこの扉は開かないんだよ。
もうここは開かないんだ。
開かなくていい、開けなくていい。
その部屋はあまりにも散らかっていて
なぜだかうるさすぎるんだ。
扉の鍵は今どこにあるのかわからないし
スペアキーもないよ。
あのとき君だけが持っていた鍵だ。
なぜか開いてしまったあの鍵だ。
たまにあのぐちゃぐちゃな部屋に
一緒に入り込んだ日を思い出すよ。
埃がキラキラとゆっくりと浮かんで
妙に心地よかった。たまに夢にも出てくるよ。
扉の隙間から漏れる光を見たりもする。
本当はまたあの部屋に行ってみたいけど
もう開かないんだ。
開けてしまったら面倒なことになるし。
もう開けないと決めているんだ。